■土地区画整理事業地域内での取り組み

本計画地は、大阪市による土地区画整理事業が施行される区域にある。平成20年度で仮換地が終了し、上下水道やガス、電気などのインフラ整備の進捗に併せて、建物解体と換地先での住宅建築が始まっている。

地区は小規模な宅地による木造住宅が密集するエリアであり、細切れの敷地を縫うように走る砂利道の路地や家庭園芸で育てられた軒先の緑豊かな沿道は、ほっと落ち着きの保てる下町として、住民から心地よく慣れ親しまれてきた生活空間である。

区画整理事業での減歩により更なる狭小化する換地先は、建築条件の悪化を招き権利者の不安の拡大を強いている。もっとも、居住者の多くは高齢化が著しく、移転先でのコミュニティの継続や住宅作りでの経済的事情、そして高齢による健康上への心配などの理由から生活再建についての先行き不安が大きく問題になっているところである。

今回の事業は、換地先が隣り合う4軒の権利者が、こうした不安や問題点の共有と解決の方法論の構築に向け学習会をし、私たちがサポートしたことに始まっている。一般的な住宅作りのモチベーションとは異なり、行為は、決して希望されるものでもなく、むしろ脅威である。如何にしてこの脅威から機会に変えることができるのか、私たちの大きな命題となった。
外観(西側3)
photo Akiyoshi Fukuzawa
外観(南西側)
Photo Akiyoshi Fukuzawa
外観(南側)
Photo Akiyoshi Fukuzawa
松富邸リビング
Photo Akiyoshi Fukuzawa‚

■縮小される住宅からの発想(脅威を機会に変える)

換地先は減歩が20%となる上、4mと間口が狭小化される。更に民法上の離隔を原則に加えると25%もの敷地のロスが余儀なくされる。減歩後で戸当り平均51㎡程度の土地であるから、1戸の単独の建替えとするには決して標準的な住宅とは言い難い。

その為、特に狭小した土地の持分の移譲を他の3軒で整理した上、隣戸間のすきま土地をなくしたゼロロットの長屋建ての工夫と角地建蔽率の緩和を組み合わせた計画で協調化手法による大きな機会を作った。また、将来における権利譲渡などによる建替えに備え、隣戸基礎を一体とした上で柱梁の構造を独立した計画としている。長屋建といっても事例が少なくこの部分で所轄行政と長屋の解をめぐって苦労した部分であり、4軒の機会を生む上でどうしても負けられない部分であった。

4軒の協調化は、隣戸間に設けた光庭にも機会を見出している。採光上必然性の空間でもあるのだが、移転先での極微な関係性を生み出す(コミュニティ再考)設えとして、カタリシスな空間となっている。近隣同士にある触れるか触れまいかの心地よい極微な関係性を期待している。

冒頭に記したように土地区画整理のような密集地での建て替えにおける課題は大きい。小規模宅地で高齢権利者の換地の多くの場合、長期化、複雑化する傾向にあり、都市や建築にとっても健全とはいえない。今回のような協調化はモデルであるが、one of allである。また、次の解を目指して役目を大きく感じるところである。

 

 

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